三津石智巳

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【感想】先進製造業の生産マネジメント論から見た事務用情報システム開発


「アプリケーション基盤」で検索していて見つけた。

製造業では、製品を製造することが生産プロセスであるのに対して、情報システム開発では、情報システムの生産するものは、画面の出力結果や帳票であり、生産プロセスとは情報システムの稼働・運用を意味する。

p. 359

13. Production Engineering at Facebook - Seeking SRE [Book]以外でこのメタファーを使う人初めて見た気がする。私も、developmentとproductionで切るのに賛成。理由は単純にこのメタファーによって生産マネジメントの知見を取り入れられるから。

(3) 情報システム開発=「情報生産工場」を作ること

情報システム開発において必要な設計対象として、工程アーキテクチャ開発プロセス自体の設計、一般には、標準的工程モデルを採用し、その都度設計はしない)、システム・アーキテクチャ(対象システムの構造設計)、プログラム・アーキテクチャ(各プログラムの構造設計)、データ・アーキテクチャ(データモデル設計)が挙げられる。

「情報生産工場」の特徴として、① プログラムは工作機械に相当し、情報を加工するのが役目、② データモデルは部品表6 に相当、③ オンライン即時処理は「1個流し」生産に相当、④ 情報システムの開発工程は新製品開発工程であり、期間短縮が重要、⑤ 情報生産工場の生産性 7 として処理能力・処理性能が重要、が挙げられる。以上を踏まえて、情報システムと製造業とを比較すると、図1のようになる。

pp. 359-360

情報システムが「情報生産工場」、データモデルがBOMなどのメタファーはなるほどという感じ。

このような工程直列の制限を解除して工程のオーバーラッピングを行うとすると、例えば、概要設計工程での詳細な機能仕様の決定と並行して、詳細設計をオーバーラップさせることが出来れば、その分だけ期間短縮が可能になる。この時、概要設計担当者と詳細設計担当者の間に最終結論ではない仕様を動的に調整できる組織能力構築が必要となる。自動車産業では、そのような前後の工程のオーバーラッピングにより、製品開発の期間短縮が実現している。

pp. 361-362

納期短縮のために積極的に工程のオーバーラッピングを行うらしい(それを可能にする組織能力が前提)。色々と目からウロコである。

本論文が参照している「生産マネジメント入門」はぜひ読んでみたい。