読了。つまるところ、人生の設計はできないということではないか。
「還暦後のキャリア設計をどうするか」と計画を立てる人もいるようですが、僕は人生のキャリアを設計するという考え方自体がそもそも傲慢なものだと思っています。なぜならそんなものは設計できるわけがないからです。新型コロナウイルス感染症がいい例ですが、誰も想像していなかったパンデミックが発生したことにより、オリンピックを含めいろいろなことがご破算になってしまいました。
ある意味傲慢な考え方じゃないでしょうか。僕は先のことなんかわかるはずがないと思っているので。
3年後、5年後、10年後の世界がわかるのだったら、逆算して考えてもいいですけれど、人間はそんなに賢くない。僕は人間はチョボチョボだと思っていますし、ほとんどの人が現状の延長線上でしか未来を考えていないでしょう。だから、そういう考え方は僕の性に合わないですね。
ただ、先々をぼんやりと「こんなことやりたい」って思うのはいいと思いますよ。
生体肝移植を保険医療で受けるには、肝不全の診断が必要だ。だが佐藤は肝不全にまで至っておらず、1500万円ともされる手術費用を賄う必要があった。ここにも幸運が働いた。40歳前に外交員に勧められるまま切り替えていた医療保険は、がん診断時に一時金で1000万円払われる。移植の決断を後押しした。
pp. 151-152
ここの記述は面白かった。結果論で言えば医療保険が「得」だった事象なのだが、自分の人生で同様の事象が発生するかどうか事前に予想することは不可能なのであるから、一般論で言えばできるだけお金を増やしておくこと以上にできることはないと思われる。