三津石智巳

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【感想】野生化するイノベーション


なぜこの本を選んだのかは忘れた。ただ、以前からイノベーションについて学びを深めなければとは思っていた。

イノベーションとは、簡単に言えば、「経済的な価値を生み出す新しいモノゴト」です。

p. 36

「新結合」といわれてもいまいちピンときていなかったのだが、こちらの定義のほうがピンとくる。

イノベーションを測定するための、唯一絶対の方法というものはありません。

p. 57

などが挙げられている。イノベーションが測定量であるという考えをそもそも持っていなかったので新鮮だ。

新しく起業しようが、既存企業で働いていようが、あるいは「企業」という組織で働いていなかったとしても、イノベーションを実際に生み出していく人が企業家なのです。

p. 59

企業家(アントレプレナー)の定義の理解が曖昧だったので助かる。個人的には既存企業で働くアントレプレナーでありたいとは思う。

私有財産制度は、(…)その起源については明確ではありません。(…)
しかし、1215年のイギリスで大きな転換がありました。ジョン王がマグナ・カルタに調印したのです。マグナ・カルタとは、国王の徴税権を制限し、封建貴族が有する諸権利を再確認したものです。(…)
その後、自由権私有財産権の制度が徐々に進められ、「イノベーターが得をする」というルールの整備が進んでいきました。

pp. 74-75

長めの引用になってしまったのは感動ゆえ。別に税金の学習をする中で、そもそもなぜ課税単位が個人であることが多いのか疑問を持っていた。この度期せずしてイノベーションについて学ぶ過程で「私有財産制度」の歴史を学ぶことができたが、課税単位が個人であることは私有財産制度と表裏一体なのではと思うにいたった。すなわち、歴史的に私有財産を認めるように社会が進化してきた結果として課税単位が個人になっていったのではないか。

彼らは1969年に、それまで十把一絡げに扱われていたイノベーションを、新しい製品やサービスを生み出す「プロダクト・イノベーション」と、生産工程を新しくする「プロセス・イノベーション」の2つに分け

p. 95

我々はイノベーションとオペレーションという言い方をよくする。もしくは、イノベーションと改善。もしくはイノベーションアジャイル

つまり、研究とマネジメントの分業がなされていると、セレンディピティに出会ったとしても追求されにくいのです。

p. 117

逆に言えば、マネジメントが研究することが求められているのでは?他のアプローチとして、productionの誤差やゆらぎの中にイノベーションのタネがあるのかもしれない。

この本のメッセージを煎じ詰めて、一文で言うとすれば、「ヒト・モノ・カネといった経営資源流動性が上がっていくと、イノベーションの破壊的な側面が強くなる(野生化が進む)」です。

p. 225

総じて、コンピューティングリソースの多重利用・最適化との関連が気になる。流動性を高めると機会費用が小さくなるが野生化も進む。飼いならしと野生化のバランス。

もちろん、誰もがイノベーションの担い手になる必要はありません。そんなことは個人の自由ですから、自分で納得できる生き方を選択すれば良いのです。

p. 233

これは大事。

イノベーションは、「経済的な価値を生み出す新しいモノゴト」です。経済的な価値が高まったとしても、それで人々が幸せになるかどうかは分かりません。それでも、我々の社会的な課題を解決するためには、ある程度の経済成長が必要だと思います。経済が成長して人々が分け合えるパイが増えないと、パイの奪い合いが起きてしまいます。それを政治的に解決するのには、かなりの調整コストがかかります。だからこそ、イノベーションを社会にとって必要不可欠なものなのです。
しかし、それでも、経済的な成長が人間の幸せに直結するわけではないのは確かです。

p. 236

「衣食足りて礼節を知る」の通りだ。日本だけに限ってもまだまだ経済的な成長およびイノベーションは必要不可欠である。世界で見てもおそらくそうだ。もちろん、SDGsの通り「働きがいも、経済成長も」は言うまでもない。

Global Innovation Companyの意味について考えている。特に、more than a companyについて改めて考えさせられた。要するに、ここでいうところのcompanyは「会社」という概念というよりも、ブランド・国旗のような抽象的な概念なのだと思う。「会社」のウチかソトかという二分法にとどまらずグローバル社会の中にイノベーションを増やしていくことが期待されているのだと思う。