三津石智巳

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【感想】人事制度の日米比較―成果主義とアメリカの現実


「役割等級制度」でGoogle Booksを検索していて見つけたと思う。

市場的指標は組織の成員の行動を直接に規定できない。行っている業務の違い、責任の範囲や大きさの違い、つまり権限や能力による秩序が、市場的指標と成員の行動の間に挟まっているからである。

p. 15

「マーケット感覚」を組織の仕組みに翻訳しないといけないということ。

「役割等級」が「目標のレベル」を統御し、「目標」に照らして「実績」を評価するのが「成果評価」である。

p. 38

期待役割の機能は、目標のレベルを統御するにつきる。ジェネラリスト・スペシャリスト両方に規定することがやはりできると思うが、ジェネラリストの場合は基本的に管掌組織の規模で分かりやすい。スペシャリストの場合は、影響範囲もしくは難易度になるのだろう。前者はプラットフォームで、後者はドメイン。後者のほうがより評価が難しい。

 

転載はできないが、p. 39の図1-4と図1-5が素晴らしい。役割等級制度について、私が知る限り最も腑に落ちる説明である。

「能力が高まれば」付加価値増大に結びつき、それは右肩上がりの市場が評価してくれるはずである、という楽観がさほど無理なく許される幸運な時代であった。

p. 40

これが事実であれば、隔世の感である。1940年体制」について勉強しなければならない。

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なぜ今「働き方」を変えないといけないのか、その理由―ライフネット生命の出口治明会長|IT Leaders

1940年体制が終わり、サービス産業に移行するなかで、やはり市場は無視できる存在ではないというのが現代ということなのだろう。1940年以前はちょっと分からないけれども。

人事管理との接合は、企業目標、部門目標の達成に「貢献する」上での「役割」の序列となる必然性があった。接合部としての「役割」は、一方では、「期待される成果」の水準を、他方では「期待される行動」のレベルを指し示すものでなくてはならない。

p. 40

役割というとよく分からなくなってくるが、まぁMBOだよな、多分。

1980年代までの日本…企業組織は「優しかった」と言わなければならない。

p. 43

しみる。

市場⇒経営戦略→組織再編→業績管理→人事管理

p. 45

やはり、戦略から始めるのが現代において圧倒的に正しいと思われる。で、業績管理と人事管理をつなぐ接合部分が「役割」なのである。

「役割等級」を軸に、一方では成果評価を、他方では「コンピテンシー評価」を備えることによって、市場から発信される価格情報を組織内の管理規則(administrative rule)に翻訳可能になったのである。まことに大きな変化をくぐったと言わざるを得ない。

p. 45

ここまでまとまってるの初めて見た。

 

つまり、1980年代の能力考課から2000年代のコンピテンシー評価に変化したとはいえ、真の成果評価、すなわち市場からのサインを取り込めていない限りは1940年体制を引きずっているのであり、「仕事ごっこ」だということなのだ。仕事ごっこから抜け出すためには「経営戦略→組織再編→業績管理→人事管理」という論理を真っ向勝負でやるしかない。これは論理なので反論しようがないというのがポイントかと。