今から100年近く前に、こうした現状を予測していたのが、20世紀を代表する経済学者ヨーゼフ・シュンペーターです。彼はアメリカで「資本主義は生き延びられるか」というタイトルで講演を行い、「資本主義は滅びる」と予言しました。その理由は、「ディオニュソス的企業家精神」が失われることによって滅びるというのです。
ディオニュソスとは「陶酔と創造への衝動」を象徴するギリシア神話に登場する神で、ニーチェ*)が表現した「アポロ的とディオニュソス的」という対比を意識したものです。ジョン・メイナード・ケインズが言うアニマルスピリッツも、ビジネスの原動力という意味では同じことを言っている。
資本主義とビジネス(事業)の原動力について考えている。ケインズとシュンペーターによれば、人間の本性に根ざすものと考えるのが良さそうである。